2016年06月06日

クジラの血管は人が入れるほど太い?

k20160605.jpg

「シロナガスクジラの大動脈は、人が入れるほどに太い」という話を聞いたことがあって、さすが、地球の歴史上最大の生きものだなあと感心したことがあります。
でも、実際はそこまで太いものではないらしい。直径数十センチメートルというのが事実みたいですが、手元に専門書がないので、正確な数値は確認できません。

それにしてもクジラというものは、雄大な生きものです。ウィキペディアによれば、体重は最大190トン(最も大きい恐竜の数倍の重さ。海には浮力があるおかげですね)。夢みたいな大きさです。

クジラといえば、僕が気に入っている詩があります。

丸山薫氏の「鯨を見る」。「1941年といえば第二次世界大戦のさなかで、人間はいたるところで火薬を爆発させ血を流していた。その人間の世界を背景にして、もう一度、鯨と、練習船の少年たちの笑い声の詩を読んでみよう」(辻征夫『ゴーシュの肖像』)

太平洋で鯨を見たよ
鯨は灰色の背を朝日に染めて
大きく 右舷の波間を泳いゐたよ
アレヨとさわぐとまもなく
さかさになつて沈んでいつたよ

しばらくすると反対側に
ゆつくり浮かび上つたよ
慌ててみんなその方へ行つたよ
だが こんどもおれ達の見てゐる前で
尾を逆立てて沈んでしまつたよ

沈んだと思つた鯨はすぐに
右舷の近くに浮んできたよ
そこで おれ達もそちへ戻つたが
なぜか ふいにまた沈んだよ
そして 左舷の遠くに浮び上つたよ

鯨はいくども沈んでは浮んだよ
その都度 重い飛沫があがつて
海は大砲のやうに鳴つたよ
ゆさゆさ潮が打ちよせてきて
みんなは甲板を右往左往したよ

とうとう おれ達は笑ひ出したよ
この大洋生き残りの先生の
なにがなんだかわからない仕草に
夢みたいな海の広さと底なしの深さに
みんな腹を抱へて笑ひ出したよ


クジラのような大きな生きものがいるとおもえば、微生物のように小さな生きものもいます。
小さい生きものにとって、世界はどう見えるのでしょう。私たちにとって、水はさらさらに感じるものですが、微生物にとっては粘り気のあるもの、粘性の強い物質らしい。水の中を微生物が移動するのは、そう簡単ではない。

犬に寄生するフィラリア(正式には犬系状虫、Dirofilaria immitis)。蚊から犬に感染して、犬の血管に入り込み、最終的に心臓に移り住みます。フィラリアにとって、犬の体の中はどう見えているのでしょう。「見えている」と書きましたが、血管は光の届かない、暗黒の世界。どう「感じられる」のか、というほうが正確かもしれません。
暗い血管の中、そこには血液というどろどろの水分が流れつづけてきます。フィラリアはその流れに身を委ねながら、どんな心持ちで目的の心臓に向かうのでしょうか。血液中の赤血球・白血球、タンパク質などがときには体にぶつかったり、からみついたりするかもしれません。

孤独なフィラリアの旅、といってもいいかもしれません。少し叙情的にフィラリアのことを語りました。フィラリアにはフィラリアの、進化の到達点としての生き方、形があって、私はそこに敬意を払います。それでも、愛犬の命を守るためには、フィラリアの駆虫はゆずれないことです。

(写真は美ら海水族館にて、ジンベイザメ)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

6月5日 (日) は病院が混みました。お待たせした飼い主の皆様には申し訳ないとおもっております。昼食をとらずに働きつづけたスタッフも多いのですが、急患の対応もあって、皆様のお時間を頂戴いたしました。今後も待ち時間短縮に取り組んでいきますので、ご理解いただけましたら幸いです。

なお、再診は予約診療で対応できることがあります。どうぞご相談下さい。
posted by kaihin-amc at 00:41| Comment(2) | 動物病院
この記事へのコメント
ありがとう。190トンで数十センチの程度でピンと来ないが楽しかった。今後とも宜しくお願いします。
Posted by 能見雅彦 at 2017年06月14日 16:50
コメントをお寄せいただき、ありがとうございます。楽しんでいただければ何よりです。これからもよろしくお願いいたします。
Posted by 畠 at 2017年06月21日 22:33
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。