2016年07月14日

「コアラの赤ちゃんが何を食べるか知っている?」 『せかいの動物』

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「同じものしか食べない動物が健康なのはどうして?」
「動物の目はどれくらいよく見えるの?」
「動物の赤ちゃんは、どれくらいおなかの中にいるの?」
「動物の子どもはいつまで親と暮らすの?」
「一匹狼って本当にいるの?」
「どうしてシカの角は毎年、生えかわるの?」
「アザラシとアシカの見分け方は?」

子どもたちが感じる、動物に関する疑問。それをきれいな写真とQ&A形式で解説しているのが『プチペディアブック せかいの動物』です。素朴な疑問だけに、かえって知らないことも多い。解説は一つの疑問を通して、動物の解剖学的な、あるいは生態学的な見事さを伝えることに成功していて、単なる雑学の寄せ集めではないのがいいです。

私が気になったのは「コアラの赤ちゃんが何を食べるか知っている?」「一匹狼って本当にいるの」の2つ。最初の疑問に対するこたえは「母親の肛門に口をつけてパップという特別なふんを食べる」。その理由については本をぜひ読んで下さい。

オオカミは私がすきな動物のひとつです。動物はそれぞれに美しいとおもいますが、厳冬のオオカミの美しさはきわだっています。洋書ですが Denver Bryan " Call ot the wolf " はオオカミ・コヨーテの遠吠えなどを収録したCDがついている、その筋ではとても有名な本。とてもおすすめです。

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プチペディアブックはシリーズになっていて、『にほんの昆虫』というものもあります。カブトムシのサナギの写真が目をひきます。
posted by kaihin-amc at 11:28| Comment(0) | おすすめの本

2016年06月23日

世界で一番美しい土地 ギリシャ写真集『心の旅』

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150カ国以上を旅した知人が言っていました。

「世界で一番美しいのは、エーゲ海の島々、そして、冬のアラスカだよ」

私は10年以上前、エーゲ海のサントリーニ島を旅行しました。

知人がいっていたように、とても美しかった。

日差しが強い日中は、建物の白・空の紺碧・海の紺青が絵のようなコントラストを描きます。それはそれで印象的ですが、心に残ったのは、空と海の境界がまだはっきりしない、朝もやでやわらかに包まれる風景だったり、日が沈みはじめて、オレンジの街灯がともりはじめる夕と夜の境界だったり、つまりはステレオタイプ的なエーゲ海の風景ではないものでした。

何日目だったか、目覚めて、宿泊したコテージの小さなドアを出ると、初老のオーナーが椅子にすわって、しずかに早朝の海をながめていました。
そのころ、私の毎日は殺伐としていました。帰宅はいつも真夜中を過ぎて。深夜のファミリーレストランで遅い夕食をかきこみ、帰宅して数分でもいいから、本を読みながら、そのまま眠るのがささやかな楽しみでした。朝を味わうなど、願ったことすらなかったとおもいます。

財政破綻したギリシアの人々の生活がどうなったか、私にはわかりませんが、あのオーナーのような生活がまだ残っていることを願っています。資本主義とグローバリゼーションが前提の世界となって、世界はすこしずつ均質化しているのではないかとおもうことがありますが、世界は多様性に満ちていることも信じたいところです。

そして、表題の写真集。増見芳隆さんの写真は、私がみたギリシアの風景とおなじものです。猫と犬がいっぱい登場するので、動物の写真集としても十二分の価値はありますが(サントリーニ島では角を曲がるたびに猫と出会うかんじで、カメラを向けると、猫から近寄ってきたりします。とてもフレンドリー)、なんというか、生き方を見つめ直すというか、世界を考えなおすきっかけにもなる本でもあります。ボリューム満点で、とてもお買い得です。

サントリーニ島、またいきたいなあ。イタリアを旅したときは「お腹いっぱいになるのが残念なほど、料理がおいしすぎる」とおもいましたが、サントリーニ島では「感受性がもっとあれば、感動の深さも強さもずっとずっと増すのだろうなあ」とおもいました。
posted by kaihin-amc at 01:13| Comment(0) | おすすめの本

2016年06月07日

愛する存在を失ったとき 『くまとやまねこ』

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ある朝、くまはないていました。なかよしのことりが、しんでしまったのです。

こうはじまる『くまとやまねこ』は、大切な存在を失って、かなしみの底にいるひとに読んでほしい一冊です。文章は湯本香樹実さん、絵は酒井駒子さん。
大切な人との永遠の離別、その暴力的なまでの非情を前に、心を石にして堪え忍ぶしかないときがあります。閉め切った部屋のなかで、心を閉ざしつつあったくまを救ったのは、たった一言の言葉でした。

一緒に暮らしてきた犬や猫が、ある日、その命を終える。天寿を全うしたとしても、長い闘病の果てだとしても、愛する家族の一員との永遠の離別は、あまりにかなしいものです。

私も18歳の老猫が死んだとき、涙が止まらずに仕方がなかった。死んでから、ずいぶんたっても、外を歩いていて、突然、涙があふれるようなこともありました。ああ、あのとき、面倒臭がって、ポーの食事の用意を後回しにしたなあ(そう、ポーという名前の猫でした)、もっと触ってあげればよかったな、そんなふうに、後悔することもありました。ポーは彼の一生がそうであったように、死ぬときも小さな声を一瞬あげただけで、だれにも迷惑をかけず、しずかに逝った。そうしたいじらしい生き方・死ぬ方もまた、切ない。

動物病院ではときに、毎日のように動物の死に向き合います。悲嘆に暮れる飼い主を前に、どう言葉をかけていいか、言葉がつまることもあります。私の治療が正しかったとしても、それが明らかな寿命を迎えた結果のものだとしても、かなしみは変わらない。

ただ、私が飼い主以上にかなしむことはありえない。私は、かなしむことは、飼い主の権利だとおもうから。その領分を私が奪ってはいけない。愛することは飼い主にしかできないだろう。おなじ意味において、真にかなしむことは、飼い主にしかできないだろう、とおもう。

それでも、わずかでもいいから、飼い主のかなしみ・苦しみを和らげたいと、私たちスタッフは願っています。必ずしも、そのおもいは伝えられていないかもしれませんが、スタッフはみな、命はかけがえのないものだと日々痛感しています。そして、その死もまた、かけがえのないものだと。

飼い主が眠ったように死んでいるペットを、大切に抱いて、帰宅します。泣いているスタッフもいますが、一見、平然としているスタッフもいます。私は多分、平然とみえるかもしれません。それが職業人のふるまいとして必要だとおもうからです。でも、ときには感情に負けそうなこともあって、そんなときには、スタッフと目で会話をします。「うん、もうこれ以上、苦しまずにすむね。家族のみんなが迎えにきたよ。よかったね」。

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自分を救った本、いいとおもった本などを不定期に紹介していきます。
posted by kaihin-amc at 23:32| Comment(8) | おすすめの本