2018年06月25日

おひさしぶりです:最近の診察のこと、宇宙のこと

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おひさしぶりです。更新が滞っていました(いつも自宅のパソコンで記事を書いているのですが、原因はわかりませんが、このブログにログインできない状態になっていました)。

前回の記事から3週間。夜の緊急手術があったり、状態の悪い犬や猫の入院が相次いだり、気を緩められない毎日がつづいていました。このところの気温の変化で、体調を崩す動物も増えています。

私たちの力不足で、なかなか病状を改善できないこともありますが、ありがたいことに、日々、新患の飼い主さんがいらっしゃって下さいます。みなさんの不安な気持ちを汲み取り、期待に応えたいとおもいます。

夜7時になっても、空が明るい。昨日は夕焼けが美しかった。ひさびさにカメラを持ち出して、空をとってみる。社会が変わっても、文明が移り変わっても、地球の空はいつも美しいのだろう。ヴィム・ヴェンダース監督「ベルリン・天使の詩」には人間が登場する前の、しずかな地球の風景が描写されていたシーンがあったはずで、そこをながめている天使の姿が印象的だった。

空は宇宙とつながっている。大気圏と大気圏外の境界はあいまいで、空を見上げるということは、宇宙をのぞいていることに近いとおもう。

先日読んだ、故スティーブン・ホーキング博士の記事を取り出してみた(2018年4月22日付日本経済新聞)。

そこには博士の研究の歩みとして、こんなふうにまとめられていた。
1970年 宇宙が無限大の密度を持つ「特異点」から始まったことを証明
1971年 ブラックホールが蒸発して消滅しうることを証明
1983年 宇宙は境界条件のない無から生まれたとする「無境界仮説」を提案
無境界仮説は「虚時間という数学的な技法を用いて、空間と時間がまるで球面のように境界や端はない」という考え方らしい。

私にはむずかしすぎる話だけれど、壮大すぎる話はとても好きです。宇宙のことを考えると、明日もがんばろうとおもえる。
posted by kaihin-amc at 22:05| Comment(0) | 動物病院

2018年06月03日

「患者中心の医療」

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毎日新聞4月22日付朝刊に、中山和弘氏(聖路加国際大教授)のコラムがあった。その中で患者中心の医療に関する話が出ていました。私たち動物病院のスタッフにも参考になる点が多々あると感じました。備忘録を兼ねて、ここにアップしておきます。

どの質問にも「はい」と答えてもらえるような、そんな獣医療を提供できたらとおもう。
posted by kaihin-amc at 22:39| Comment(0) | 動物病院

2018年05月31日

みなの自己紹介を聞いて、たとえばAさんとコーヒーの物語

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とある水曜日、4月からともに診察している三上獣医師・山根獣医師をはじめ、病院スタッフそれぞれが自己紹介することになって、みなのそれぞれの人生や趣味や家族の話などを聞きました。

いつも一緒に働いているのに、みなのことの一部しか知っていないのだなあ、という当たり前のことをしみじみとおもいました。
こんなにいろいろな経歴や生き方をしている人たちと一緒に働けることのありがたさを感じるとともに、みなの力に少しでもなれるようにしないとな、と気が引き締まるおもいがしました。

写真はエスプレッソ。看護師のAさんの自己紹介にコーヒーが登場したので。そうかあ、Aさんはいろいろなところで働いたことがあるんだなあ。その事実を知っただけで、なんだかAさんの魅力が10倍ほど高まったとおもう。Aさんは私が知らない土地の、知らない風景や知らない人たちを知っている。

ほかの人たちもゆたかな物語を生きている。そんなみなからの影響を受けて生きていけたらともおもっています。

長田弘さんの詩集『世界は一冊の本』から「旧師の死」の一部を引用します。

わずか23歳で死んでいった
ダルムシュタットの詩人の言葉。

いちばんつまらない人間だって
結構、偉大なものさ----

そいつを愛するのにも、人間の
一生じゃとても短すぎる----
posted by kaihin-amc at 01:07| Comment(0) | 動物病院

内田さん、長い間、ありがとうございました

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いつも優しい笑顔で飼い主の皆さんに接して下さった、受付スタッフの内田さんが退職しました。勤続10年。本当にお疲れ様でした。

受付は病院の顔です。「この病院で大丈夫だろうか」、そんな不安を持ちながら来院する飼い主さんにとって、内田さんの柔和な表情や物腰はきっと大きな励ましになっていたにちがいないとおもう。

私たち獣医師や看護師のミスを会計前に発見することもたびたびあって、私は幾度も内田さんの注意力に助けていただいた。本当にありがとうございました。

飼い主さんの心に寄り添えるスタッフが去ることはさみしいですが、内田さんの決断を応援したいとおもっています。

長い間、お疲れ様でした。愛犬を連れて、いつでも遊びにきて下さいね。
posted by kaihin-amc at 00:41| Comment(0) | 動物病院

2018年05月25日

かわいいそっくりさん

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M家のアメリカン・コッカー・スパニエルです。とってもかわいいですね。
posted by kaihin-amc at 22:28| Comment(0) | 動物病院

2018年05月22日

エダマメ、トウモロコシが芽吹きました

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今日はお休みをいただいています。

畑では先日種をまいたエダマメが芽吹いていました。エダマメは「お湯をわかしてから収穫しろ」というほどに鮮度が味に影響するそうです。無事に育ちますように。
posted by kaihin-amc at 23:36| Comment(0) | 日記

2018年05月17日

看護師のMさんのこと

看護師のMさんに初めて会った日のことは・・・忘れた。

海浜動物医療センターに就職希望で実習に来た私はかなり緊張していただろうから、Mさんを含め、誰と何を話したかなど、残念ながら、私の脳は覚えていない。ドラマのようにはいかないものです。

でも、Mさんとの出会いは、私に劇的な変化をもたらしました。

病院でなにか問題が持ち上がると、それがどのようなものであれ、Mさんはそのことについて心を痛める。そう、「心を痛める」という表現がもっともふさわしいように、私にはおもえる。まるで自分のことのように、自分の私生活での出来事のように、病院で日々発生する問題や課題に頭を悩ます。

それは、Mさんが海浜動物医療センターをよりよい動物病院にしようと心の底から願っているから、だとおもう。どうすれば、困っている飼い主さんの助けとなるか、どうすれば、もっと飼い主さんの心に寄り添えるか。

私が休み明けで出勤したときに、Mさんが「昨日、こんなことがありました。むずかしい症例でしたが、飼い主さんの心を救えるような方法がもっとあったんじゃないかっておもっていて・・・」、そんな話をすることもあります。

Mさんに出会えたことは、私にとって、感謝してもしきれぬ幸運です。Mさんのその優しい心根や病院に対するおもいに、私は感化されつづけてきた。ともすれば、冷静になろうとしすぎて、科学的に徹しようとしすぎて、飼い主さんや動物から離れそうになることがあって、そんなとき、Mさんからの一言で、私は性急にことを進めようとしていることにはっとしたりする。Mさんの言葉や行動は、私にとってのブレーキではない。私の針路をおだやかに正すやわらかな潮風。

こんなとき、院長はどう考えるだろうか、院長だったら、困っている飼い主さんに「待っていますから、来て下さい」とどんな時間帯であってもそう声をかけるだろう。判断に迷う出来事があるとき、私は2つの観点から考えてきた。
それは(1)飼い主さんが困っているなら、力になろう、(2)院長だったらどうするだろう。そして、最近、私は(3)Mさんはどうおもうだろう、と考えるようになった。

まだまだ未熟で、飼い主さんの心に寄り添えていない私ですが、それでも、さまざまな人たちの力を得て、少しずつ成長していると信じている。Mさんはそのうちの大きな1人だ。

普段、なかなか面と向かって言えないことがある。

Mさん、いつもありがとう。そして、もう少しバランスのとれた食事をとって下さいね。
posted by kaihin-amc at 00:08| Comment(0) | 動物病院

2018年05月15日

コクシジウムと原生生物の世界

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犬・猫の腸に寄生するコクシジウムの写真です。

コクシジウム? 聞きなれない名前だとおもいます。ウィキペディアで検索すると「コクシジウム(球虫、coccidia)類は消化管などの細胞内に寄生する原生生物の一群」とありますが、「原生生物」を正確に理解できる方はどれだけいるでしょう。

そこで原生生物を検索すると「生物の分類の一つ。真核生物のうち、菌界にも植物界にも動物界にも属さない生物の総称である。もともとは、真核で単細胞の生物、および、多細胞でも組織化の程度の低い生物をまとめるグループとして考えられたもの」とあって、この説明を読んでも、すっきりしません。

そこで、「原生動物園」というサイトに飛んでみると、原生生物がすごい生物群だということがわかります。以下、サイト内からの抜粋です。

 かつて生物の世界は、生き方をもとに分類されてきました。多細胞生物か単細胞生物か、 動物か植物か、 というようにです。その流れの中で、「原生動物」とは、単細胞で動物的特徴を持つ真核生物として扱われてきました。

 しかし近年、分子系統解析という遺伝子の配列から生物の系統関係を明らかにする手法によって、原生動物をめぐる分類体系は大きく変わっています。

 原生動物は、藻類や寄生性原虫、その他菌様体制をもつ真核生物とともに「原生生物」という大きな分類群に取り込まれ、更に、その原生生物の分類は、これまで生物の世界で主流とされてきた動物・植物・菌類をも巻き込んだ、大系統分類へと向かっていきます。動物・植物・菌類とは、原生生物が分岐していった枝葉の一部に過ぎず、それを上回る多様性が原生生物の世界には眠っているというのが、現在主流となりつつある考えです。

 原生生物の多様性をもとにした大系統分類において、真核生物は7つの主要グループ(スーパーグループ)に分けられています。アメーボゾア、オピストコンタ、アーケプラスチダ、ストラメノパイル、アルベオラータ、リザリア、エクスカバータです。それに加えて、未だ分類的位置の不確かな原生生物が多く存在します。
ワクワクしますね。肉眼で見えないから気づかないだけで、私たちの世界はまだまだ未知の生物に満ちているようです。

このサイトで閲覧・ダウンロードできる「付録・原生生物151 ポスター」には美しい、あるいは奇抜な形態のいきものたちの写真がのっています。獣医療になじみが深いのは「アピコンプレクサ」のグループですね。
posted by kaihin-amc at 23:22| Comment(0) | ペットの病気

2018年05月11日

『きみのためのバラ』

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予防シーズン真っ最中です。元気なペットたちがワクチン接種やフィラリア検査にやってきていますが、一方で、重い病気の動物たちを連日のように診療しています。

獣医療の限界や自分の力不足で反省することが多々あります。このブログに書こうとおもいながらも、なかなか落ち着いた執筆する時間がとれずにいます。手元に資料も用意してはいるので、次の休日にはがんばって書こうかと。

今日はたまたま美しいバラをみかけたので、写真に撮りました。

バラをみて必ず思い出す本が、池澤夏樹さんの『きみのためのバラ』です。あの日以来、何気なくみかけていた風景でさえ、全く違う意味をもつようになってしまった。きみのためのバラ・・・。世界を愛おしくおもえる小説です。
posted by kaihin-amc at 22:55| Comment(0) | おすすめの本

2018年04月30日

ミミヒゼンダニにも存在理由がある

きょうの一枚は、ミミヒゼンダニという寄生虫の写真です。虫が嫌いな方は「続きを読む」をクリックしないで下さいね(不思議な形をしていますから、できればご覧いただければとおもいます)。

この寄生虫が生きる場所は「猫の耳の中」。猫にとっては迷惑な相手ですが、ミミヒゼンダニにとってはそこだけが生きる世界。耳垢に埋もれて生きて、そこで繁殖をするミミヒゼンダニの世界観というものは、どのようなものでしょう。

自分たちが「宇宙に浮かぶ地球というところ、そこの日本という国の千葉県千葉市で生きている日本猫の耳の中」にいるなんてこと、きっとわからないでしょう。でも、わからないから、下等な生きものということではない。わからないから無意味に殺していいというわけでもない。

それでも、猫にとって不快なミミヒゼンダニを、私たち獣医師は駆虫しなければなりません。駆虫するとき、私はミミヒゼンダニを憎いとおもっているわけではありません。彼らには彼らの生きる理由があるはずです。ただ、それが私たち人間にはわからない。わかっていないのは、私たち人間のほうかもしれません。
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posted by kaihin-amc at 22:45| Comment(0) | きょうの一枚