2017年10月22日

南木佳士さんの奮闘を知って

台風が近づいていますね。こんな日には体調を崩す動物が多い。下痢や整形外科的な問題で来院する動物が目立つのは、この天気と関係があるのかどうか。

作家・医師の南木佳士さんの文章を、日本経済新聞(10月22日付)で読みました。学生時代、同期の女性から、南木さんという作家の存在を教えてもらったことがきっかけで、一時期、彼の小説を集中して読んだことがありました。信州の自然を美しく描写する方です。

新聞から一部を引用します。

定年を二年後に控えたある日、ふと思い立って独りで乳房X線写真読影の勉強を始めた。NPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構が実施する二日間の講習会を受講し、読影試験に合格すれば認定医になれる。
一年半かけ、三回目の試験で合格した。だれの助けも借りずに認定医になろうと意地を張っていたのだが、二回の不合格で実際の乳がん症例写真を多く読まねばだめだ、と気づき、はるか年下の乳腺外科部長に頭を下げ、乳がん患者さんの術前画像を読ませてもらう許可を得てようやく合格したのだった。

学ぶ動機・きっかけは、ひとそれぞれで、南木さんの場合は何だったのでしょう。それが何であれ、定年直前にも新たに学ぼうとする彼の奮闘を知って、大いに刺激を受けました。

帰宅は夜10時とか11時ということが多いので、ついつい、勉強もせずに眠ることもしばしば。今夜は帰宅後、心臓のことを勉強しました。

いまは23時35分。帰宅したら、家族3人は川の字になって眠っていました。外はときおり強い風が吹いています。
風といえば(読んだのははるか昔、その内容もほとんど覚えてはいないが)、ライアル・ワトソン『風の博物誌』という本を思い出します。初版は32年前。風は信じがたいほどやわらかい化石だ、といったのは、だれだったかな。

台風が無事に通過しますように。
posted by kaihin-amc at 23:28| Comment(0) | 動物病院

2017年10月21日

飼い主さんの不安・苦痛を受け止めること:電話での相談

他院にかかっている飼い主さんから、電話で相談を受けることがあります。それはかかりつけの診断は正しいのか、料金は適正なのか、そちらでも手術はできるのか、他に治療する方法はないのか・・・内容はいろいろです。

飼い主さんは大切なペットが病気になって、不安に陥っています。その不安をしっかり受け止めることができなければ、セカンドオピニオンを求めて、かかりつけ以外の病院に相談することになるのでしょう。
きっと、私が診察した動物たちの飼い主さんのなかにも、私の診断や説明に不安や不満を覚え、別の動物病院に向かった人がいるにちがいありません。だから、こうして他院の飼い主さんからの相談を受けるたびに、自分の日々の診察を省みることになります。

今日、都内の飼い主さんから相談を受けました。重い病気にかかっていて、治療をするにしても相当な料金がかかるうえに、治療をしても助からないことのほうが多い・・・そんな説明を受けたそうです。「この子がいるおかげで、家族はしあわせになっています。助ける方法はないでしょうか」、そんな切実な相談でした。

私はその動物を診察していないので、その飼い主さんが話す内容の真偽を確認する手立てはありませんし、その動物の病気のことを知っているのは、診察した獣医師です。だから、私が責任を持って助言をすることは、残念ながら、できません。診察をせずに、たしかなことはいえないのです。
飼い主さんからすれば、「それはわかるが、そうだとしても、なにか少しでも助言できないか。いま伝えた情報から推測できることはないか」とおもうのもわかります。でも、たとえば「咳をしている」といった症状ひとつでも、咳をする可能性のある病気は実にいろいろあって、病気によって治療内容は全然違いますし、今後どんなふうに病気が進むのかも全然違います。飼い主さんからの質問に誠実に答えようとするほど、責任を持って答えることがむずかしいのです。

だから、私は「いま、私におっしゃったこと、◯◯さんが不安におもっているということ、困っているということを、かかりつけの獣医師に伝えていますか。もしそうしていないのなら、そこの獣医師に◯◯さんの気持ちを伝えてみてください。それでも、どうにもならなければ、もう一度、私に相談して下さい」とお願いすることがあります。
もちろん、相談内容によっては「私でよければ診察します。大丸2大丸2︎ちゃんを連れてきて下さい」と話すこともあります。

診察したことのない動物の相談は、診断という面からすると、とてもむずかしい。簡単には回答できません。動物の状態がわからない。検査データもない。

でも、ひとつだけたしかなことがあります。

それは、いま、その飼い主さんが苦しんでいる、困っているという事実です。

飼い主さんにとって有益なことを、お電話でお伝えすることはできないことがあっても、飼い主さんの不安や苦悩に耳を傾けること、それだけは私にもできます。それには血液検査の数値もレントゲン写真もいりません。

今日の相談の電話にも、結局、大したことはお答えできませんでした。ただ、少しでも飼い主さんの苦痛を和らげることができていたらいい、と願っています。

長々と書き連ねました。今日の相談内容が切実だったので、私もいろいろと考えることがあって、忘れないうちに記事にすることにしました。
posted by kaihin-amc at 22:29| Comment(0) | 動物病院

2017年10月20日

毎日元気に診察しています

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長い間、更新が滞っていました。申し訳ありません。毎日元気に診療しておりますが、日々の忙しさに負けて、なかなか記事をアップできずにいました。

この2カ月間、いろいろなことがありました。私の力不足から救えない命があり、飼い主さんを悲しませることもありました。なかには診断と治療がぴたりとはまって、ペットの回復を手助けできることもありました。

ブログの記事は毎日考えてはいるものの、状態が悪い動物を診察したばかりだったり、入院中の動物の状態が不安定だったりすると、気楽に記事を書けないこともあります。プライベートでは子どもがRSウイルス感染症にかかって、1週間ほど40℃の高熱を出しつづけて、夜の看病で時間をとれないこともありました。

とはいえ、書きたいことはいろいろあります。明日から少しでも記事をアップできればと考えています。

今日は院長、看護師長と話し合う時間がありました。よい病院にするためにはどんなことをすればいいか。「経験不足の新人でも、飼い主さんの信頼を得られることがある。それは、新人獣医師は一生懸命に診察するからだ。この獣医師にはわからないことがあっても、そのときにはきっと院長や上の獣医師に相談してくれる、そう考えてくれるからだ。私がこの動物のこれからを責任持って診察しますよ、そういう姿勢を見せられるかどうか」。

この子は私が責任を持って診察します、そんなふうに日々の診察にあたりたいとおもいます。その場限りの診察ではなく、ただお茶を濁すような診療ではなく。

今週は6連勤。気を抜かずに、それぞれの診察に集中していきます。

写真はRSウイルス感染症にかかっていたころの次男。

posted by kaihin-amc at 22:59| Comment(0) | 動物病院

2017年08月10日

「ウルトラマンフェスティバル 2017」に大興奮

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酷暑がつづいています。病院には呼吸状態の悪い犬や猫の姿が目立っています。病院は8月も通常診察をしております。お盆休みはないので、困ったことがあれば、ご相談下さい。

休日をいただいた水曜日、家族で池袋サンシャインシティにいってきました。お目当はサンシャイン水族館の「空飛ぶペンギン」でしたが、長男も僕も大満足だったのは、ついでに立ち寄った「ウルトラマンフェスティバル 2017」。

ライブステージが面白かった。面白かったというよりも、興奮したというか、感銘を受けたというか、出演したヒーローたちのキレのあるアクション、大画面のCGや照明と組み合わせた攻撃の演出、入場者の子供と大人たちで手にしたライトを使っての応援など、とても丁寧に作り込まれている。親子そろって生まれて初めてのヒーローショーということもあって、2人で夢中になりながら、ステージに見入ったり、応援の声を出したりしていました。

木曜日は朝から長男のウルトラマンごっこに付き合うことになりました。夜、子供が寝入ったあと、放映中の最新シリーズ「ウルトラマンジード」をみてみました。大人でもはまる理由がわかる気がします。面白い。

posted by kaihin-amc at 22:13| Comment(0) | 日記

2017年08月03日

「ネコは飼い主をネコと思っている?」

猫は飼い主のことをどうおもっているのだろう? 猫の飼い主なら一度はおもうことです。人間のことを大きな猫だとおもっているのか、猫以外のばかないきものだとおもっているのか。

ナショナルジオグラフィック日本版サイトから引用します。

イヌと人間の関係については多くの研究がなされています。そして、イヌは人間に対し、自分たちとは異なる存在ととらえていることが明らかになっています。イヌは人間を見ると態度を変えます。イヌと人間、イヌ同士では全く遊び方が違います。

一方、ネコと人間の関係では、人間を異なる存在ととらえていることを示唆する行動はまだ見つかっていません。人間が自分たちより大きいことははっきりわかっているようですが、社会的行動を大きく変えているようには見えません。尻尾を立てる、脚にまとわり付く、隣に座る、体をなめるといった行動は、ネコ同士で行っていることと全く同じです。

ご家庭の猫さんたちはいかがでしょう?



posted by kaihin-amc at 22:22| Comment(0) | いろいろなこと

「エサ皿を取り上げて、かみついてきたら、安楽死の候補になる」

食事中の犬からエサ皿を取り上げて、かみついてきたら、安楽死の候補になる。

保護した犬を家庭に引き渡すとき、その犬が安全な犬か、あるいは危険な犬か、保護施設は見極める必要があります(以下は、ニューヨークタイムズの電子版の記事によるものです)。いままで、アメリカの保護施設では、最初の一文に書いたような方法を使い、犬の危険性を評価してきたそうです(もちろん、評価方法は複数あって、エサ皿を取り上げるのは、その一つにすぎません)。

ところが、最近、エサ皿を取り上げるこの方法は信頼性に欠けるとの研究結果が出てきました。

詳細は記事をご覧いただければとおもいますが、犬の生死を左右する方法の信頼性が揺らいでいるわけで、現場ではその問題に苦慮しているようです。

学生時代、日本の愛護センターを見学したことがあります。だれも犬や猫を殺したいとおもっているわけではありませんが、人手・収容能力・予算などの問題から、現実的にはそう簡単に安楽死ゼロを実現できない。

保護している犬は多いが、いわゆる里親候補のご家族の数は少ない。そうすると、どうしても、保護している犬に優先順位をつけなければならない。私が見学したセンターは、エサ皿テストをおこなっていました。いまのその方法を踏襲しているのなら、見直す必要があるかもしれません。

posted by kaihin-amc at 21:49| Comment(0) | 動物病院

2017年08月01日

いのちのスープ@吉祥寺・一圓

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あまりに餃子とスープがおいしい。10数年前に初めて「餃子ライス」を注文してからというもの、ときどき口にしないと、禁断症状のようなかんじになって、多少無理をしてでも、吉祥寺の「一圓」に足を運んできた。

辰巳芳子さんに「いのちのスープ」という言葉、あるいは考えがあって、私にとっては、ここのスープがいのちのスープです。ちょっとしょっぱさもありますが、お腹をすかせた体のすみずみに、泣けるほどにスープがしみる。疲れたときほど、味が増す。

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餃子ライスはジャンボ餃子5つ、ご飯、スープの3点セット。この餃子がやばいです。

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今日は長男と一圓を訪問。長男はここの大きなあんまんが好き。冷えてもおいしい。

私は食事にはこだわらないたちですが、一圓はずっとあってほしいと願っています。

posted by kaihin-amc at 22:49| Comment(0) | 日記

「オネアミスの翼」

自分では精一杯働いたつもりでも、今日一日、本当に飼い主のための仕事をできたのかどうか、あの判断は正しかったのか、ふと気弱になることがあります。

夜10時。病院の裏口から出て、月を見上げるときなどに、そんなことをおもう。おもう、といっても、あまり集中してものごとを考えられるエネルギーは残っていないので、正直にいえば、そんな反省というか、不安というか、それについて掘り下げて、あれこれ細かに考えることはできない。漠然におもう。

獣医大学に在学中、ある教授の言葉を思い出す。「治療は簡単。診断をつけるまでがむずかしい」。
いやいや、100%の診断を下せていても、しっかりした治療をしても、治療に反応しない動物はいっぱいいる。なにより、診断よりも、治療よりも、飼い主の不安を汲み取ったり、気持ちを共有したり、そういうことがさらにむずかしい。
真剣に仕事に取り組むとき、どんな職業のどんな仕事だって、そこに簡単な仕事はない。簡単だとおもったら、仕事を真面目に考えていないことの証拠かもしれない。

蒸し暑い帰路、(先日紹介した)K-MUSICLIFEの涼しい音楽をきいてみる。ざわついていた心がしずまるようで、ふっと心が透明になった気がする。

今日は半月だ。月だって、半分の輝きしかないことがある。

満月の明るさは、太陽の30万分の1だという文章を読んだことがあります。正しいかどうか、わかりません。
月といって思い浮かぶのは、ナショナルジオグラフィック日本版8月号の記事。
米国のIT企業グーグルがスポンサーとなり、Xプライズ財団が運営する月面探査レース「グーグル・ルナ・Xプライズ」、民間の資金で初めて月面に探査機を送り込み、高解像度の動画と静止画像を地球に送信することがミッションだ。このレースに世界の5チームが挑み、一番先にミッションを達成したチームが賞金2000万ドル(約22億円)を手にする。
ファイナリスト5チームの1つは、日本のチーム、HAKUTOだ。
探査機はロケットで打ち上げる。
ロケットで思い出すのは、アニメ映画「オネアミスの翼」。非常に優れた作品で、打ち上げシーンは何度みても、感動する。

posted by kaihin-amc at 22:29| Comment(0) | 動物病院

2017年07月25日

昆虫の形ってすごいなあ

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お休みをいただいている今日は、昆虫の造形美というか、不可思議な形に感動した一日でした。
カブトムシに触り放題という、カブトムシにとっては過酷なイベント「大昆虫展 in 東京スカリツリー」にいってきたのですが、会場には実にさまざまな、保存状態のいい昆虫の標本が展示されていて、長男がカブトムシに夢中になっているかたわら、僕はその虫たちの写真撮影に熱心になっていたのでした。

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世界にどれほどの昆虫がいるかわからないほど、地球上には昆虫が満ちています。「虫」と聞いただけで、ぞっとする女性がいることは承知してこの記事を書いていますが(申し訳ありません)、私たち哺乳類にとって、昆虫は食物連鎖で重要な位置をしめる生物です。近年は、将来の食糧危機に対して、昆虫が大事なタンパク源になるという主張もあります。

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このグラデーションの見事さ。

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自然が生み出す、形や色の不思議。

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宮崎駿監督の「風の谷のナウシカ」に登場する、蟲(むし)を思わせる形です。

どうしてこんな形をしているのだろう、美しい色はどうして必要なのだろう。

posted by kaihin-amc at 21:47| Comment(0) | 日記

2017年07月24日

注意喚起:「マダニ感染症、猫から感染 女性死亡」

ペットを飼っている方、野良猫などと接触する方に、厚生労働省から注意喚起のリリースが発表されています。厚労省のリリースはわかりづらいとおもいますので、日本経済新聞社の電子版より記事を引用いたします。
 厚生労働省は24日、野良猫にかまれた50代の女性がマダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」を発症し、10日後に死亡していたと発表した。かまれたことが原因とみられ、猫からヒトへの感染事例が明らかになるのは初めて。
 厚労省や国立感染症研究所によると、女性は西日本に在住。昨年、衰弱した野良猫を動物病院に連れて行こうとして手をかまれた。数日後にSFTSを発症したという。女性がダニにかまれた形跡はなく、感染研は野良猫が最初に感染し、女性にうつしたとみている。
 これまでSFTSは森林や草地に生息するマダニに人が直接かまれることで感染すると考えられていた。
 厚労省は今年に入り、SFTSウイルスに感染し、発症した飼い猫と飼い犬も確認。感染はまれで、屋内で飼っている猫にはリスクはないとしているが、屋外にいる体調不良のペットに接触する場合は注意するよう呼び掛けている。

リリースでは「これらの事例は、稀な事例」とされていますが、「発症したネコやイヌの体液等からヒトが感
染することも否定できない」としています。

今回発症した猫の詳細な獣医学的な情報を知りたいところです。
なお、臨床獣医師や看護師などに対しては、以下の通知がなされています。
1 明確な基準はないが、患畜において発熱、白血球減少症、血小板減少症、食欲消失等の症状が認められ、さらに入院を要するほど重症(自力採餌困難等)で、かつ他の感染症が否定された場合に、SFTS ウイルスの感染についても疑う。
※確定診断にはウイルス学的な検査が必要です。検査方法等、技術的な内容の相談は 国立感染症研究所(info@niid.go.jp)にお問い合わせください。
2 SFTS ウイルスに感染した疑いのある患畜の取扱にはPPE(手袋・防護衣等)により感染予防措置をとり、汚物等を処理する際には次亜塩素酸ナトリウム含有消毒剤による処理やオートクレーブなどの加熱滅菌処理を行う。
3 日常的な対策としては、飼育ネコ・イヌを介した感染はまれと考えられること、屋内飼育ネコについてはリスクがないことから、過剰に飼育者の不安をあおらないように配慮しつつ、飼育者に対するダニの駆除剤投与についての指導を徹底し、飼育者は、ネコ・イヌの健康状態の変化に注意し、体調不良の際には動物病院を受診することを勧奨する。

診断基準が定まっていない点が、獣医師にとってむずかしい問題になりそうです。「発熱、白血球減少症、血小板減少症、食欲消失等の症状」は、あるタイプの免疫疾患に特徴的な所見ですし、「他の感染症が否定された場合」というのも、病原体の遺伝子検査の結果が出るまでには時間がかかりますから、その間の対応に苦慮しそうです。

ともあれ、咬まれないようにする、体調が悪そうなら受診する、といったことは、特別なことではありませんから、基本的なことをまずはこころがければいいのでしょう。

取り急ぎ、情報提供まで。
posted by kaihin-amc at 23:24| Comment(0) | 動物病院